チラシのつくり方

イメージチラシは「価値」がまったく伝わらない

イメージチラシとは

毎日のように折り込まれる新聞チラシや毎日のように届くDMの9割以上が、「イメージチラシ」です。「イメージチラシ」の私なりの定義は、「紙面の半分以上が写真やイラストで占められ、企業イメージを伝えることを主としたチラシ」のことです。

※以下「チラシ」とは、新聞折り込みチラシだけでなく、新聞広告、DМ(ダイレクトメール)や広告、名刺、会社案内、営業ツールに至る全ての紙媒体の広告宣伝物全てを、私はチラシと呼んでいます。

ある時、新聞を読んでいると、大企業(自動車メーカー)のセンスのいい1面全面広告が目に飛び込んできました。一見、商品とは関係のなさそうな写真とイラストに短く洗練されたキャッチコピー。そのキャッチコピーが昼間になっても頭から離れません。私にとっては、そのメーカーには今まで全く興味がなかったのですが、広告を見て興味を持ちました。皆さんも、そんな経験はありませんか?

であれば、「よし!うちのチラシもかっこいい写真とセンスのいいキャッチコピーを考えよう!」と、きれいなイメージ写真と洗練されたキャッチコピーで自社チラシをつくってはいませんか?

私の会社は大企業?

しかし、今一度、冷静になって振り返ってみてください。「私の会社は大企業だろうか?」と。株式上場、店頭公開されているような大企業の場合は、ある程度知名度も信頼度も高いので、「良いイメージさえ持ってもらえれば良い」というスタイルのイメージチラシで良いのです。

でも、御社が中小・個人企業なら…、大企業と同じような感覚で広告を実施しても、費用対効果はものすごく悪いです。中小・個人企業なら中小・個人企業のやり方で集客しましょう!大企業のモノマネをしていたら…潰れてしまいます。

とはいえ、こんな偉そうなことを言っている私も、20年数年前の営業マン当時につくっていたのは、まさにイメージチラシ。A3サイズのかっこいいパンフレットを100万円くらいかけてつくり、自己満足していました。バブルの名残がある当時はそれでも元は取れましたが、今は同じことをやる勇気はありません。

でも何故、イメージチラシでは費用対効果が悪いのでしょう?

チラシの目的は何?

例えば、あなたが、以前から関心のある商品・サービスについて、良いイメージのチラシを見て「あの宝石、欲しいなー」「あんな車に乗りたいなー」「スポーツクラブに行きたいなー」と思ったとします。かといって、今すぐそのお店に買いに行くでしょうか? または、問い合わせ先に電話して資料請求するでしょうか?

そのお店で以前買い物をしたことがあるか、もしくは食料品や、雑貨、ディスカウント品、日用品など千円以下の低単価商品なら違うとは思いますが、そうでなければ、初めてのお店に対してすぐに行動はしないと思います。

チラシの目的は何でしょう?「新規のお客様を増やすため」ですよね。

一見のお客様が、イメージチラシを見て「買いたいなー」といって行動を起こすでしょうか?通常、イメージだけで人間はなかなか行動しないものです。「実際に商品を見にいったらしつこくセールスされるかもしれない…、高い物を買わされるかもしれない…」と、新しいお店や会社には強い警戒心を抱き、賢くなっているからです。

では、どうすれば新規のお客様が増えるチラシをつくることができるのでしょうか?

新規のお客様が増えるチラシのポイントとは

一つだけポイントを挙げるとすると、イメージチラシを「情報・価値訴求型」のチラシに変えることです。つまり、イメージ写真で何となくではなく、文字・文章で情報や価値を伝えるのです。

特に大事な情報は、

◎お客様にとって、この商品・サービスを購入することによって得られる付加価値!

◎実際、購入された、サービスを受けたお客様の声!

◎その商品、サービスを購入することによって解決される悩み!

です。

あなたの自宅に折り込まれる「エステや健康食品」の新聞折込チラシをよく見てください。まさに、このような形になっているはずです。商品を前面に売り込んではいないですよね。

エステの施術を受けることによって、太っている悩みが解決する!実際に施術を受けた女性の声!そして、お試し脱毛3,000円!本当に売りたい商品を打ち出すのでなく、お客様が行動しやすい入口をつくっているのです。(実際には、3,000円を入口に⇒3万円、10万円と買ってしまうのですが)

御社のチラシも、商品・サービスの概要や特徴だけを紹介するチラシになっていませんか?商品の概要だけでは人は行動しないのです。その商品によって得られるお客様にとっての価値、これが重要なのです。

お客様にとっての価値を掲載する

チラシをつくる際は、お客様があなたの商品・サービスを購入することによって得られる価値を10項目、まずは全社員で挙げてみてください。そして、その上位10項目をチラシに掲載してください。

なるべく具体的に、お客様の声で、お客様の立場に立って、価値を整理するのです。できればお客様に直接ヒアリングして、お客様の言葉を使うのです。そうすれば、お客様の心に直接響かせることができます。

簡単でしょう!

以下、以前お手伝いしたある自動車学校A社のチラシ事例をご覧ください。もしもあなたが、「お子様の免許」について考えておられたら、下記どちらのチラシの自動車学校に通わせますか?

イメージ→情報で反響20倍!

左側は、A社の40代男性の古参幹部がつくられたチラシで、右側は私がヒアリングしてつくったチラシです。両社の違いは圧倒的な情報量!

当初この自動車学校のチラシも裏面は白紙で、私が「何故、裏面を使わないのですか?」と担当者にお尋ねすると、「ご家庭で奥さんがメモで使うので、チラシを取っておいてくれるんですよ」と言われました。裏面白紙のチラシは時折見かけることがありますが、非常にもったいない。

また、「このフクロウのイラストは何か意味があるのですか?」とお尋ねすると、「意味はないけど、何となく動物を使って良いイメージを訴求しているんです」との回答が。

結果、古参幹部がつくられたイメージチラシは、ぽつぽつ電話が鳴る程度だったのに対し、私のつくった情報たっぷりのチラシは、200枚を超える返信ハガキに、200件を超える電話問い合わせ。当然入校数も増えて、その月において過去最高の入校実績を記録しました。予想を大幅に上回る反響に営業マンは1ヶ月そのフォローで終われ、営業マンも経営者もその幹部さんも大変驚かれました。

反響の要因はというと、「どんな自動車学校で、どんな指導員がいるのか」ただそれを分かりやすくチラシ紙面に書いただけです。どんなご商売でも同じく、新規のお客様は、あなたのお店や会社に強い警戒心を抱いています。興味はあっても問合わせすると押し売りさせるのではないかと、警戒しているのです。

しかし、その警戒をとく鍵が一つだけあります。

それは「情報」です。情報が多ければ多いほど、人間は安心感を持つのです。なるべく多くの情報を公開し提供することで、「あの会社は、あのお店は、安心だなー」と思うのです。

まず警戒心を解く、そのためにも情報型のチラシに変えましょう!集客できるチラシ・DMをつくるには、会社が小さければ小さいほど、無名なほど、「情報量」が多くなくてはならないのです。

まとめ

①イメージチラシから「情報提供型」のチラシに変える

②お客にとっての価値・利益を整理し、徹底的に訴求する

③小さい会社ほど情報量が必要

  • この記事を書いた人
森本琢磨

森本琢磨

有限会社 楽まうく代表取締役。中小企業の売上向上サポートを生業とし「現場密着による即時業績向上」を得意とする。 2000年、サラリーマン時代、3万件の法人企業への飛び込み訪問の経験を武器に創業。営業構造づくりや営業マン教育、販促改革を専門とし、短期間で業績を高めつつ内部社員教育、変革を得意とする。現場(内部)に入りこみながら、変革を支援する手法は、経営コンサルタントとしては異色。 主にサービス業、販売業、飲食業などの営業・販促改革による業績アップ支援を行い、成果を徹底的に追求したチラシ・DMづくりで結果を出している。広島県呉市音戸町出身。

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